先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全DDH)
生下時または生下後に股関節が脱臼、亜脱臼している状態を指します。(生まれた時に、はずれているかいないかではなく、徐々にはずれていく可能性のある疾患である為、発育性股関節形成不全DDHが正しい名称です。)放置すると成長が障害され、変形や長期的な機能障害につながる恐れもあります。)
早期に異常を発見し予防や治療を行えば予後は良好ですが、発見が遅れる程 治療は難しくなります。1歳以上や歩行開始後に発見される例は診断遅延とみなされます。(DDHがあっても痛くなく歩くこともできる所が難しい点です。)
予防啓発などの先人の努力、小児科の先生方による乳児一時健診の普及などにより、1970年代以降DDHの患児は激減しています。
小児科の先生方は他のものすごく多くの項目のチェックとともに股関節もチェックして下さり、少しでも股関節の異常の疑いがあれば整形での二次検診への紹介となります。
前述の如くDDHの患児は減っているものの、ある程度の割合で(全国で年間100例程ですが)診断遅延の患児がまだ発見されています。多くは整形での二次検診を受けているにも関わらず、そこで診断に至っていません。 より成長が進んでから発見され、治療も難しい物となります。(整形での二次検診には多くの改善すべき問題があります。)
問診、診察とレントゲンでの従来の単回の検診では「明らかな異常がある本物」は見つけられるものの、「gray zone」の患児が見分けられませんでした。(赤ちゃんの関節は軟骨成分が多いですが、レントゲンでは軟骨は映らないため。)
軟骨の評価に優れたエコーを用いた より早期からの検診や複数回の評価の重要性、必然性が指摘されていますが、中々広まっていないのが現状です。
早期に発見されていれば、大変な治療を受けずに済んだのに… といった患児を少しでも減らすべく、多くの先生方が努力されています。
自分も微力ながら地域医療に貢献すべく、もともと赤ちゃん以外の診察でもエコーを多用している事もあり、乳児股関節エコー検査を開始しました。
ほとんどの場合、問題ない事の確認と股関節の成長にとって良い事と悪い事の指導に留まると思いますが、ご興味のある方は是非ご相談下さい。
(注 生後7か月位までの赤ちゃんがエコーの対象となります。)